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飛騨の民話 お美津ギツネ [飛騨の民話]

  むかしむかし

 飛騨街道すじの上呂橋場と、尾崎橋場は、よう栄えておったもんや。

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  なんでも、宿屋や料理屋が軒をつらね、夜になると三味の音や唄ごえが、[るんるん]にぎやかにきこえてきたそうな。

 おまけに、お美津という、それはきれいな娘がおってよ、近くの村の衆の人気を集めておったと。

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そこから1キロ北に『さいら野』という、

雑木林とススキにつつまれた、さびしい野原があってな、そこに大きなキツネがすんでおった。

そのキツネは、女に化けるのが得意でな、いつも美しいお美津に[モバQ]化けたんよ。

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 いつの間にか、「さいら野のお美津ギツネ」とよばれるほど有名になったと。

 お美津ギツネは、益田の街道すじきっての親分でな、大勢の子分どもをひきつれて、『さいら野』に住みつき、いつも旅びとや道行く人化かしておったそうな。

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 ある日のこと。

上呂橋場で酒をいっぱいひっかけた馬方の富助が、夜もふけた『さいら野』近くを馬のたずなをひいて帰りよった。

 すると、その先を、女がひとり歩いておる。そばに近よってみてびっくりしたなあ─。お美津が、[ハートたち(複数ハート)]にっこり笑いかけてきたんやと。

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   富助は、酒のいきおいもあって、お美津のかたに手をかけて、にんまり、うれしそうな顔しとったといな。

  そのとき─。なんにおどろいたか、馬がたずなをふりきってかけ出した。

  富助も、はっとわれにかえってみると、なんとまあ[どんっ(衝撃)]

お美津とばかり思って手をかけたかたのあたりに、枯れ木の枝が、にょっきり、出ておったとよ。

 きつね.jpg

  富助も、さすがにばつがわるうて、あたまをかきかき家に帰った。

  そのお美津ギツネの子分の中に、それは、かわいらしい雌ギツネがおったそうな。

小糸坂の小法師といってな、お美津ギツネとの間に、かわいい子ギツネもうまれておったと。

ところが、その子ギツネが、猟師の勘八にとらえられてしまったんや。・・・・・・かわいそうにな。

  それをきいて、近くの村や里からたくさんのキツネが、高山の石浦の浄見寺野(じょうけんじ)へぞくぞく集まってきた。

藤が森の藤三郎、山の洞の源右衛門、長峰の万右衛門、小瀬の小女郎、こうじ坂の四郎兵衛、森が洞のおこん、瀬戸が洞のおたけ、それに高山郷から、小法師、おけさ、松助と、その子ギツネを助ける相談をした。

  みんな口をとんがらかいて議論をしたけんど、話はなかなかまとまらず、とうとう明けがた近くまでかかったと言うことや。



  あくる日の夜おそく─勘八の家へ、ひょっこり坊さんがやってきたと。

「あれ、ご住職やないかな。まあ、どうぞ、どうぞ。」

家の者が、とつぜんのおとずれにびっくりしておると、

「いや、そのままで・・・・・・。」「わしは新屋へお経をあげにいったかえり道なんじゃが。」
  というと、ずかずか、座しきにあがりこんだ。

  「さっき、新屋できいたんじゃが、勘八さは、かわいい子ギツネを、生け捕りにしたそうじゃな。わしにも見せてもらいたいな。」

  勘八は、すぐ立ち上がり、

  「はあ、そりゃ、かわいいキツネでしてな、ちょっと待っとくれ。」

  と、そとへ出ていき、しばらくすると、子ギツネをかかえてはいってきた。

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  坊さんは、子ギツネをひざの上にのせると、

  「なんまんだぶつ、なんまんだぶつ・・・・・・」

  と、念仏を、となえはじめた。すると子ギツネは、坊さんの胸にしがみつき、かわいい声でないたんやと。

家の者みんなも、坊さんのねんごろな念仏に手を合わせて、目をつぶった。

ふしぎなこともあるもんや。とたんに[ひらめき]ランプの火は消え、いろりの火もにぶうなって、部屋の中は、[がく~(落胆した顔)]きゅうにひんやりとしてきたと。

  勘八がびっくりこいて目をあけたときには、坊さんも子ギツネも、どこかへ消えてしまったそうな[あせあせ(飛び散る汗)]

  子どもをとりもどした、お美津ギツネは、その足で『さいら野』へひきかえし[ダッシュ(走り出すさま)]、親子水入らずでくらしたということや。

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  上呂の『お美津稲荷』へいってみると、お美津ギツネの碑をまん中に、子ギツネの碑が、親分をとりかこむように並んでおる。


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コメント 11

SilverMac

飛騨民話、楽しく読ませていただいています。
by SilverMac (2008-07-07 14:00) 

toshi

絵が綺麗ですね。
by toshi (2008-07-07 16:42) 

信州のりんごほっぺ

飛騨には沢山の民話があるのですね
楽しく読んでおります(^-^)
by 信州のりんごほっぺ (2008-07-07 22:30) 

ずくなし たぬき

民話シリーズ次が楽しみです。
by ずくなし たぬき (2008-07-08 08:38) 

テリー

狐さんの民話、心温まるお話ですね。
by テリー (2008-07-08 17:22) 

さといも野郎

この絵は、ご自分で描かれたのですか?素敵です!
by さといも野郎 (2009-08-19 23:06) 

まゆみっふぃ

ご訪問&niceありがとうございました。

イラストがなんともかわいいですね。
by まゆみっふぃ (2009-08-20 20:21) 

sak

きつねの出てくるお話って好きなんです
(何故だろ??)
悲しいお話が多いけど
無事に幸せな結末でおわってくれるとホッとします

by sak (2009-08-22 11:31) 

komikanv

写真と絵でのご紹介、とっても素敵ですね。
絵はご自身で描かれているのですか?
by komikanv (2010-06-20 20:30) 

あんず-M

民話面白かったです。友だちとそちらの方に旅行したいと計画中です。飛騨ってステキな所がたくさんあるんですね~。^_^
by あんず-M (2010-06-23 00:22) 

藤が森の藤三郎

お美津ぎつね。
南飛騨、下呂市の萩原地域に伝わる昔話。

下呂温泉合掌村の影絵昔話館「しらさぎ座」では、このお美津ギツネが影絵劇で上演されている。
そりゃあ、すごく感動する影絵劇で、日本でここ一箇所しかない影絵劇の劇場だってさ。

聞いたところでは、もと市職員の齋藤啓治さんが発案し、そのほかにも下呂の昔話を何作も作って上演しているそうな。

行かない手はないね。
今度の週末に行ってきま~す。
by 藤が森の藤三郎 (2013-11-19 16:41) 

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