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飛騨の民話 藤蔵渕(とうぞうぶち)とガオロ [飛騨の民話]

 飛騨高山では、[がく~(落胆した顔)]寒い日が続きます。

ようやく降り続いた雪も一段落といったところです。

 でも、それもまだ2月、まだまだ春の足音は聞こえてきませんね。


 長い冬が終り

wi010.jpg

 久しぶりにツバメの

 姿が見られるようになると、百姓さんたちはにわかに忙しくなります。


 藤瀬村の籐蔵さも、冬の間毎日毎日馬屋(まや)の中へ藁(わら)や干草(ほしぐさ)を投げ入れて、

馬に踏ませた馬屋肥(まやごえ)が、もう仰山(ぎょうさん)なことたまりましたので

 今日は馬屋肥出しをすることにしました。

 この馬屋肥というのは、馬を飼ってある家では、どの家でも春から秋にかけては、

山や草原からの刈草を、冬は藁や干草を毎日どっさり   と馬屋へ入れてあげます。
 馬はよろこんで、うまいところをボリン、ボリンと喰べているのですが、

 そのうちにこの草の上に、チョコレート味に見せかけて実は・・・ぎゃーうんこをしたり、しっこをしたりして、あの重い体重で一日中踏みつけたり、

寝ころんだりするのでたちまちよごれてしまいます。

 それで毎日、朝、晩新しいものを入れてあげるのです。そんなことを一冬中つづけていたから馬屋の中は、地面から一メートルほどの厚さになって、藁や草が、うんこうんこ(大盛)や小便をじっくり吸いこんで、おまけに発酵して、ホトホトと温かく、甘ずっぱい匂いを出すようになります。


 これを馬屋肥えと言いいます。

これがお百姓さんにとっては、田畑の肥料として一ばん上等のものになりますので、どのお百姓も一生けんめい作ったということです。

 さて、藤蔵さは、馬を引き出して川原のクルミの木につないでおいて肥出しの仕事にかかりましたが、この仕事がまた大変な大仕事で、
 じっとりと重い馬屋肥を、熊手(くまで)で打ちおこして、ぐるぐると巻くような恰好(かっこう)で引ずり出して、馬屋の前の空地に積み上げる。

 そんな作業の繰りかえしが夕方までつづくのです。

 一方、馬の方はうす暗い馬屋の中から引出されて、明るい川原のクルミの木の下で、今伸び出したばかりの軟(やわらか)い草を喰べてみたり、クルミの木にからだをこすりつけたりしながら、ひょいと川を見るとそこの大きな渕の水面でナ、ツバメが上手にツバメガエシをやっています。
 矢のような[ダッシュ(走り出すさま)]速さで突込んできて、渕の水面にチョンと腹をつけるとまた矢のような速さで飛び去って行きます。

 藤蔵の馬ものん気な奴で、この芸当(げいとう)を面白そうに眺めておりましたが、その時、渕の中から妙なものが頭を出したのです。

 ボコボコッと泡といっしょに水面から上がって来たものには、藤蔵の馬もおどろきましたが、生まれつきのんきな馬は、「ヤァ今日は。」……くらいの気持ちでおったらしいです。

560px-Hokusai_kappa.jpg←飛騨地方では、河童「ガオロ」と呼びます。

 あとでわかったことなのですが、こいつがガオロという奴で、大きな目玉に尖った口、頭の真中が禿げたように見えますが、これがガオロの皿というやつで、ここに水が有る間は、とんでもない力が出せるのですが、2陸に上って長時間経ったり、転んで水をこぼしたり川流れしたら、その時から、だらしの無いものになってしまうといい伝えられています。


 またこいつは、いたっていたずら者で、水滴陸に上ってはキュウリ畑を荒らしたり、芋を掘ったり、それにまた悪いくせがあってな。川の中や、近くに居るものは何でも水の中に引込んでおもしろがるということです。

 今日もその術(て)であきれたことにこの大きな馬を川へ引込もうという魂胆(こんたん)なのです。

 ヒョコ・ヒョコ歩いて来る姿は全く、こっけいというか、水滴あいきょうがあるというのか、いたずら盛りの子供のように見えますが、背中に亀の甲羅のようなものが有って、手足のゆびの間には、水かきの膜が光って見えます。
 ガオロが馬に近づいてみたが、大きなクルミの木に丈夫そうな綱でつないであるのを見ると、早速綱を解きにかかったが、のんきな馬は“いっしょにお散歩”くらいの気持ちでいたらしく、テコ、テコといっしょに歩き出したということです。


 はじめ渕の水ぎわまでは何のことはありませんでしたが、ガオロが渕の水に入って綱を引っ張るので、馬も前足にグッと力をこめて踏みとどまりました。

 ガオロもこれでは駄目だと思ったらしく、体に綱を巻きつけて一気に引込もうとしたからたまりません[exclamation×2]
 「ヒヒーン」[どんっ(衝撃)]と一声、満身(まんしん)の力をこめて飛び上った馬は一散(いっさん)に馬屋目がけて走り出しました。

 このはずみに、綱の先のガオロは2一気に水の上に跳びあがらせられて川流れ、皿の水がこぼれてしまったからたまりません。

 何の力も出すことができず馬に引ずられて、そのまま馬屋へとび込まれてしまいました。

 藤蔵さの方も、仕事がはかどってやれやれと一服してござるところへ、川原でおとなしく遊んでいると思った馬が血相(けっそう)変えて飛び込んで来たから、これまた腰が抜けるほど愕(おどろ)きました。


  「わりゃ何じゃ[exclamation]、たわけめが[exclamation×2]


 と、うす暗い馬屋に入って見さっしゃると馬屋の隅に何やらモソモソ動いているものが居ます。

 ようく目をこらしてみると、話に聞いたとおりの3ガオロというものじゃったから、また二度びっくり。

 外に飛び出して大声で、

 「おーい、村の衆や、ガオロじゃぞう[exclamation]ガオロが出たぞうー[exclamation×2]

この声に近所で働いていた人たちが、走って来て、みんな珍しがって大騒ぎになったそうですが、その中には、


 「何じゃ、何じゃ、[パンチ]殴(たた)き[むかっ(怒り)]殺して煮て[レストラン]食わまいか。」などという者も居たそうです。

でも、キョトンとした顔3をして、馬屋の隅に小さくなっている姿を見ると、何となく愛嬌(あいきょう)があって、とてもいじめたり叩いたりすることはできなんだそうです。

 藤蔵さはみんなの前でガオロに向かって、
「わりゃ、まあ何てこっちゃ。おらが大事な馬を渕へ引きずり込もうとしたんじゃろ。今日のところは、かんねん(勘忍)するで川へ帰れ。もういたずらするでないぞ…。」

 人間の言うことがわかるのか、大きな目からポロポロ涙をこぼしながら頭をペコペコ下げて、謝っていたということです。


 「サァ立て[exclamation]立って歩け[exclamation]もう人の畑を荒らしたり、人の子どもなどに手を出すことはならんぞ[exclamation×2]


 と言って聞かせながら、みんなで渕まで送って行ってあげました。
 ガオロは嬉しそうにチョコ、チョコ2歩いていましたが、渕に着くと大きく頭を下げて、ゆっくり水にもぐって行ったそうです。

 その夕方、暗くなってから藤蔵が馬屋でさ後片付けをしていると二匹のガオロがやってきて、その一匹が言うには、


 「今日は孫めが大変ないたずらをいたしまして申し訳ありませんでしたm(__)m。ご親切なあなた様のおはからいで、無事返していただきましたが、このご恩は決して忘れるものではございません。今後は、みんなの仲間に申付けまして決して、人間様のご迷惑になることは、いたさせません。」深々と頭を下げるおじいさんガオロの手に甘えていた、今日のいたずらガオロも、カッパ1はにかみながら頭を下げていたということです。


 そして最後に老ガオロは、
 「ほんの、お礼のしるしでございますが、あなた様のお家で、お膳や、お椀がお入用のときは、何十人前でも、その入用の数を、あの渕に来て注文して下されば次の朝きっと、揃えてお届けいたさせます。」
と約束して帰って行ったということです。
 
 それからしばらくして、ある朝早く、藤蔵さがいつものように顔を洗うために水屋に来て見ると、水舟の中に見事な岩魚(いわな)・山女(やまめ)・あまごなどの川魚が泳いでおったそうです。

      
「こりゃまあ、でっかいやつばかりじゃが、いったい誰や、こんなとこに入れたんしゃろ[exclamation&question]


 夕方になっても誰もとりに来ないので、近所、隣に聞いてみたが誰も知りませんでした。
「こりゃ、てっきりだりかが、おらんどこへくれさっしゃたんじゃろ……。」
 ということになって、夕飯のご馳走にしてみんなで[レストラン]食べてしまいました。

 ところが次の朝、また水舟に、大きなやつが五匹も六匹も泳いでいました。

   
 それからというものは、いつでも水舟の魚を上げて食べてしまうと、きっと次の朝また見事な川魚が同じ数だけ入っていたという話です。
 結局、藤蔵さも、
「こりゃ、魚をくれるのは、きっとあのガオロじゃぞ。あの孫ガオロが捕って来ては入れてくれるんじゃろ……感心なもんじゃわい。」
ということで、キュウリの成る季節には、川魚を水舟から取出した後へ、キュウリを入れてやることにしてやったそうですが、このガオロと藤蔵さの仲良しの話は、そのうちによその村まで評判になって、あの渕のことを“藤蔵渕”と呼ぶようななったということです。
 めでたし・めでたし、、。

 

 何?膳椀の話はどうなったかって[exclamation&question]そして川魚の話もいつまで続いたかって……。


 ああそうそう。藤蔵さの家では、お祭りや御仏事のときは、そのたんびに立派なお膳やお椀を借りて使ったそうですが、ある年のこと手伝いに来た女の人が、過ってお膳の足をいためて、そのままだまって返してしまったのでその時から、いくら渕へ入って頼んでも、もう貸せてもらえなくなったそうです。
 それに川魚の方も、いつの時か水舟の中にガオロの大嫌いな刃物(庖丁)を落し入れてあったので、それからは、もう川魚を入れに来なくなったという話です。
 
 清見町には、これと同類の伝説として、池本の鬼渕(おにふち)、楢谷の椀貸岩(わんかせいわ)、上小鳥直井彦三郎とガオロ福寄入り川のカッパ大原の水屋渕などがあり順にご紹介していきます。


 お話にでてきた、岩魚ではありませんが、清流の貴婦人と呼ばれる「鮎」のすり身を贅沢に使用した「鮎ちく」をご紹介します。

 鮎は香魚とも呼ばれ姿・色・風味ともに良く「清流の貴婦人」と呼ばれている川魚です。その「鮎」のすり身を使い、高級スケソウダラと練り合わせました。鮎の風味をそのままに、素材の持つ美味しさにこだわり、丹念に焼き上げたソフトな口当たりの「味の竹輪」です。

ayu0526n2.jpg


ayutiku.jpgお求めは「あずさ屋」でど~ぞ。

 わさび醤油でお召し上がり下さい。

お酒のおつまみに、そのままでお子様のおやつにご利用ください。


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コメント 13

miopapa

お邪魔した先のblogで
 「さるぼぼ」ならぬ「ぼぼ影」が目に入り
  何だか気がひかれお邪魔しました・・・・・・・
 高山にはちょくちょく行くのですが「鮎ちく」知りませんでした。
  今度行った時には、絶対に見つけなきゃね。
 
 これからも宜しくお願いします。 
by miopapa (2008-06-29 17:03) 

コットン

nice&コメントありがとうです^^
鮎ちく、おいしそうですね^^

by コットン (2008-06-29 17:35) 

ゆき

うわぁ 素敵な青っ
写真の撮り方で色も映えますよねぇ
河童かぁ なんか存在していて欲しいです
by ゆき (2008-06-29 21:49) 

minkwa

子供の頃に見たまんが日本昔ばなしを思い出しました。
♪坊や よい子だ ねんねしな~♪
by minkwa (2008-06-29 22:06) 

SilverMac

飛騨ではガオロと言うのですね。当地では「しばてん」と言います。
by SilverMac (2008-06-29 22:35) 

yukitan

イラスト、可愛いですね!
ラベンダーのお花も素敵です。
by yukitan (2008-06-29 23:27) 

kuwachan

nice!&コメントありがとうございました。
飛騨地方の河童さん、ちょっとカエルさんに似ているような・・・。

by kuwachan (2008-06-30 00:35) 

yamagatn

飛騨にもラベンダーがあるんですね! 綺麗です^^
by yamagatn (2008-06-30 15:23) 

信州のりんごほっぺ

イラストが面白く可愛らしいので
以前にもまして楽しく民話を読んでおります。
by 信州のりんごほっぺ (2008-06-30 18:03) 

ずくなし たぬき

ぼぼ影さんのブログに変化が…
毎日楽しく拝見させていただいています。
by ずくなし たぬき (2008-07-01 12:45) 

toraneko-tora

今日からクロアチア・シリーズで再開しました
またよろしくお願いします
by toraneko-tora (2008-07-01 15:45) 

sak

いろんな民話
楽しいですね♪
by sak (2008-07-02 15:57) 

ジョルノ飛曹長

ご訪問&カキコありがとうございました。
アイコンが色々出てきて楽しい記事ですね^^
左メニューの秘書。
呼んだら高飛車な態度で怒られました^^;
今1時過ぎですからね、当たりまえか・・・(笑)
by ジョルノ飛曹長 (2009-02-12 01:19) 

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